本研究では,これまでに多くの実践が積み重ねられてきた代表的な教科書教材である「走れメロス」を軸として,探究的に文学作品を捉え,学習者同士が学び合う国語科授業の成立の要件を明らかにすることを目的とする。探究的な学習を引き起こす手立てとして「報告書」学習を構想し,その成果を検討した。授業で得られた学習者の反応の分析・考察によって,学習者が探究的に文学作品を捉え,学習者同士が学び合うためには,(1)言語化による学びの表出機会(2)他者の学びを取り入れた学び方の獲得機会(3)自己の考えの深化・精緻化に繋がる共有過程の創出が要件となることが明らかになった。