抄録
数学における先行オーガナイザーの研究例は一応,提示オーガナイザー,比較オーガナイザー,モデルオーガナイザーそして応用オーガナイザーに分類される。これらのオーガナイザーの特徴は教材そのもののかかわりで作成されているので,教材オーガナイザーといわれる。これに対し,学習者の意味的学習に先立って,学習者自身の認知構造をあらかじめ調整する目的で導入される先行オーガナイザーが考えられる。これを一応調整オーガナイザーと名づけた。小論では,教材オーガナイザーの先行研究例から,Piagetの意味の具体的な,なるべく触覚的なモデル(応用)オーガナイザーが,数学の学習と保持を促進するという,一応の暫定的な命題が同定されていることから,調整オーガナイザーへの含意に触れ,図式オーガナイザーの,理科教育への応用例も含む例を述べ,論じる。