抄録
筆者等は,物理機器による音高の精密な測定法を音楽教育に適用し,児童の発声音・吹奏音の実態を正確に捉えると共に,それらの機器を頼りに児童が容易に音高の正否を自ら判断し,練習できる方法の開発を進めて来た。単音についての成果は既に報告した。本報では,最も基本的なハ調長音階について,児童の発声音の音高・音程を分析,検討した。その結果,児童の発声音に年令別・性別等につきかなり特徴的な傾向が見られ,音階の音高・音程の指導上特に注意すべき点も幾つか明らかにすることができた。尚,音高測定装置は,前報で報告した装置を拡張し,1つの発声音の持続時間内の任意の点の音高が測定できるようにした。