抄録
本研究の目的は,異なる方法で学習課題を把握させた場合,学習活動の結果にいかなる差異が生ずるかということを,クライドバタフライの教授-学習過程において検討することにより,効果的な学習課題の把握のさせ方の基本的観点を得ることにあった。教授プログラムの作成にあたり,実験群は次の3点が考慮された。(1)学習の初期段階における全体的課題の提示,(2)課題の系列性に基づく学習課題の提示,(3)学習者の能動的活動による学習課題の把握。以上3点を考慮しないプログラムによる統制群と比較すると,pre-testで低いパフォーマンスにあった学習者では,final-testにおいて実験群の方が高いパフォーマンスを示した。アンケート調査においては,課題の全体と部分の関係,系列性を認識している回答は,実験群の学習者に顕著に見られた。これらのことは,初心者のレベルでは上述の3つの観点が学習課題の把握を促進し,学習活動をより効果的なものにしたことを示唆している。