日本教科教育学会誌
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学習効果を高めるための教材開発 : 高等学校の有機化学実験を中心に
入江 和夫山本 紀久子
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1983 年 8 巻 3-4 号 p. 191-196

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抄録

高等学校理科の中で,化学ぎらいは,多数いるといわれている。その原因の一つとして,内容が非体系的でわかりにくいことがあげられている。実際に教科書に書かれている有機化学実験で,反応終了の確認法は,視覚的にわかりにくく,実験結果がはっきりしないことが多い。この問題を改善するため,本研究は,有機化学実験で,容易に,視覚的に反応終了が確認できるTLCを使って授業実践を行い(実験群),教科書を参考にした授業の学級(統制群)と比較して,学習効果を調べた。結果:線結び授業分析表において,実験群は,「確かめてくれたことが」「あったので」や「確かめてくれたことが」「わかった」「満足だった」など好ましい項目で有意に多く反応した。また,自由記述法においても,実験群は「他にも応用したい」など統制群に比べ意欲的な意見が出た。この結果から,TLCを用いた授業において明らかに学習効果が高まり,教具として,TLCが充分利用できることがわかった。

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© 1983 日本教科教育学会
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