日本サンゴ礁学会誌
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学会賞記念論文
高緯度における幼生産出型サンゴの生殖周期
山里 清スワルデイ エリアサルタナ サイーダ
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2008 年 10 巻 1 号 p. 1-11

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抄録

ハナヤサイサンゴ科の3種のサンゴ,ハナヤサイサンゴ,トゲサンゴ,ショウガサンゴは,多くの海域でプラヌラ幼生を一年のうちの長い期間,月に1回の頻度で産出すること,産出の期間は低緯度ほど長く,高緯度になるにつれて短くなることが知られている(Harrison and Wallace 1990)。沖縄にもこれらのサンゴは生息し,しかも沖縄が分布の北限に近い(西平・Veron 1995)。沖縄県瀬底島(26°40′N, 127°50′E)において(1993年9月~1995年5月に3種を,1995年4月~1996年6月にショウガサンゴを飼育観察した結果,ハナヤサイサンゴは,自然温度(常温)下では,冬季(1~3月または2月~4月)には幼生産出がなく,その間に26℃に暖めると幼生産出し,温暖期でも22℃または20℃に冷やすと幼生産出がなくなることがわかった。20℃では,最初のひと月だけ幼生産出をおこない,以後死亡した。トゲサンゴとショウガサンゴは常温では,5月~9月及び10月の間に幼生を産出した。ショウガサンゴについては,1995年4月~1996年6月に,常温と定温(26℃)下で飼育観察した。常温では,6月~8月に幼生産出し,定温(26℃)ではそれ以外の季節でも幼生を産出した。この結果から3種のサンゴの幼生産出は水温に依存し,ハナヤサイサンゴの幼生産出の下限は20℃,トゲサンゴとショウガサンゴのそれは24℃と推測できる。これは,これらのサンゴの分布の北限とも関連する。西平・Veron(1995)によると,ハナヤサイサンゴの分布は串本(34°N, 年平均水温22.0℃),トゲサンゴは奄美大島(28°N, 24.5℃)(環境省・日本サンゴ礁学会 2004),ショウガサンゴは天草(32°N, 13-27℃)である。海水の温度は Yeemin et al. (1990)に拠った。ちなみに沖縄島は26°N, 25℃である。

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