抄録
世界規模でのサンゴ礁の衰退が懸念されており,一般ダイバーの協力を受けた健康度のモニタリングが実施されている。本研究では,専門知識を持たないダイバーによっても,客観的なモニタリングができるような機器開発を目指し,褐虫藻が持つ光合成色素を利用して,水中で非接触によりサンゴの活性をモニタリングする手法の開発を行った。まず,光ファイバー分光計により,部分的に白化したサンゴ群体の各部分の分光反射率を水中で計測し,赤色および近赤外域の反射率から正規化植生指数(NDVIc)を算出した。この値は,同時に測定した,PAM法による光合成能と高い相関を示した。そこで,近赤外画像を取得可能な市販のデジタルカメラと光学フィルターを用いて,赤色域と近赤外域の画像を取得し,画素演算してサンゴの健康度をシュードカラー表示で可視化した。また,カメラの感度特性,海水の長波長側での強い吸収等を考慮し,青色画像と近赤外画像による植生指標(NDCI)を用いることにより,感度を上げることが可能であることを示した。