抄録
1970年頃から日本各地でサンゴに関する様々なモニタリング調査が実施されている。しかし,その多くは調査方法や取得データのフォーマットが異なっており,調査結果の相互比較が困難という問題があった。このことを踏まえ,本研究では,サンゴの被度に関する報告書やモニタリングデータを収集し,統一的なフォーマットでデータベースを作成して分析を行なった。その結果,日本近海のサンゴ被度の経年変化は海域ごとに大きく異なることが示された。今後は,水温や天敵密度といった,サンゴ被度を左右するストレス要因に関するデータを同様に分析して被度変化と比較することで,ストレス要因がサンゴ被度に与える影響を海域ごとに定量的に評価することが可能になると考えられる。