日本サンゴ礁学会誌
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原著論文
和歌山産タカクキクメイシMontastraea valenciennesi(Milne Edwards and Haime, 1848)の隠蔽種の存在
深見 裕伸野村 恵一
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2009 年 11 巻 1 号 p. 25-31

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抄録

和歌山産のタカクキクメイシMontastraea valenciennesiには形態的2型が認められる。1つは,莢壁間の接合が弱く,群体を縦に割るとサンゴ個体ごとに筒状にバラバラと綺麗にはがれる型(莢壁分離型),他の1つは,莢壁間の接合が比較的強く,群体を縦に割ると個体間で分離せずに個体が割れる型(莢壁癒着型)である。この形態差は種内変異であるのか,種レベルの相違であるのかを判定するために,交配実験を行った。その結果,形態で分けられた2型は,接合子の和合性は極めて低く(受精率0.5%以下),型間には種レベルの相違があることが明らかになった。しかしながら,これらの2型に真のM. valenciennesiが含まれているのか,あるいはどちらもM. valenciennesiに酷似した別種(隠蔽種)であるのかという分類学的位置の決定までは行えなかった。

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© 2009 日本サンゴ礁学会
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