日本サンゴ礁学会誌
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原著論文
和歌山県串本海域における近年のサンゴ群集変化
野村 恵一
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2009 年 11 巻 1 号 p. 39-49

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抄録
串本は北緯33℃という高緯度に位置しながら,黒潮の影響を強く受けるため,造礁サンゴ類が豊富にみられる。また,当地は古くからテーブルサンゴの群生地として知られ,その姿はこれまで変わることなく維持されてきた。ところが,1990年代後半以降,当地のサンゴ群集に質・量の両面にわたる変化が認められるようになった。量的変化としては,2000年をピークにサンゴ群集の被度が減少し,最近の5年間は低い被度レベルで推移している。質的変化としては,これまで当地ではまったくみられなかった南方系のサンゴが定着を始めて種多様性が高まるとともに,新参種による優占種や群落の置換が生じている。串本でみられるこれらのサンゴ群集の変化は,1990年代より継続する高水温現象によって生じたものと考えられる。
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© 2009 日本サンゴ礁学会
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