2017 年 19 巻 1 号 p. 135-142
2016年の夏に生じた造礁サンゴ類の白化現象は,先島諸島においてその被害が深刻であった。この白化現象に際し,WWFサンゴ礁保護研究センターでは,石垣島周辺の白化現象の状況を確認する共に,NGOとして様々な分野の人々が一体となって環境問題に取り組むことがその役割との考えの基,海況の調査や情報を発信する取組を行った。石垣島では,研究者とともに白保海岸と米原海岸においてUAVを用いた共同調査を実施し,白化現象の状況を上空より把握した。また,サンゴの白化の状況について,研究者が白化現象の広がりを解析する為の情報の提供を行った。他にも,海の事業者と協働して石垣島と宮古島において白化情報発信プロジェクトを立ち上げ,白化現象の状況を発信する取組に参画と支援を実施した。このプロジェクトにより,多くの事業者と白化現象に関する情報を共有し,2016年の夏に起きた白化現象について発信を行った。今回WWFジャパンは,石西礁湖のサンゴ礁生態系の保全を目的とした,サンゴ礁保全に資する環境認証の制度構築をめざし,調査と検討を開始した。その結果,環境認証を適用することにより,サンゴ礁生態系の保全・再生に向けて,肉用牛の畜産,サトウキビ栽培,パイナップル栽培,漁業,観光業などにおいてその適用可能性を見出すことができた。