日本サンゴ礁学会誌
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短報
恩納村地先に植え付けられたミドリイシ属5種の成長
岡地 賢伊藤 馨司長田 智史比嘉 義視津波 昭史
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2020 年 22 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

沖縄県のサンゴ礁保全再生事業において,恩納村漁業協同組合が養殖した群体から採取し,陸上施設で基盤に付着させた約10cmのミドリイシ属5種(Acropora tenuis, A. hyacinthus, A. digitifera, A. donei, A. valenciennesi)を,2013年11月から2014年3月にかけて恩納村前兼久地先に植え付けた。これらのうち,個々に識別した群体を2014年5月から2016年5月まで約半年間隔で撮影し,写真上で群体の長径と短径を測定して幾何直径と近似面積を算出するとともに,輪郭をトレースして投影面積も求めた。近似面積と投影面積との間には高い相関がみとめられたが,近似面積の方が大きく,その割合はA. tenuisが8.1±1.1%,A. hyacinthusが5.4±0.9%,A. digitiferaが9.2±1.0%,A. doneiが18.5±2.1%,A. valenciennesiが16.9±1.9%であった(値は平均±標準誤差)。5種につき個々の群体の約半年毎の2年間の成長量から,ゴンペルツ成長式によって成長率を推定した。これによると,A. hyacinthusA. valenciennesiは植え付け後2年目以降も大きくなる一方,A. tenuisA. digitiferaA. doneiは2年目から3年目にかけて成長がゆるやかになる傾向が見出された。植え付け後の成長を直径や面積で見積もれるようになったことで,移植の計画段階において植え付け密度や被度,そして,食害防止や食害を受けた場合の追加植え付けなど積極的な管理が必要な期間に関する目標設定が可能となるであろう。

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