抄録
明条件下でサンゴの石灰化が促進される時間経過および光により促進された石灰化速度が暗黒下で低下する時間経過を調べた。アザミサンゴ Galaxea fascicularis より単離したポリプの石灰化および光合成/呼吸の速度を、照明下または暗黒下で毎時間測定した。サンゴは実験前15-19時間暗順応させた。明条件での石灰化速度は、暗条件の時より約4倍高かった。光により促進された石灰化は、サンゴを暗黒下に移しても直ちにはもとのレベルに戻らず、徐々に減少し、暗黒下に移して3時間後に46%に減少した。光合成による炭酸ガスの取り込みは、石灰化による炭酸ガスの取り込みより3.7倍速かった。50分間サンゴを照明すると、その後の暗黒下での呼吸が上昇した。光により促進された石灰化が暗黒下で直ちに減少しないことから、明条件においたサンゴ内には石灰化を促進する物質が蓄積しており、その物質がある間は暗黒下でも比較的高い石灰化速度が保持されると考えられる。