日本サンゴ礁学会誌
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沖縄におけるサンゴの白化: 1980年と1998年の比較
山里 清
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1999 年 1999 巻 1 号 p. 83-87

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抄録
瀬底島と沖縄島において1980年と1998年の2回にわたりサンゴの白化現象を観察した。1998年の出来事についての調査結果はまだ公表されていないが、1980年の筆者自身の報告 (Yamazato, 1981) と、1998年の個人的観察に基づいて、両者の比較を試みた。1980年の瀬底島 (日本、沖縄県) における白化現象は、局所的なもののようであったが、1998年の出来事は、琉球列島の全域や南九州に及ぶもっと広範囲にわたるものだった。1980年の夏には、日中の干潮時の礁原の表層温度は異常に高かった。1998年には、異常高温は、夏の長い期間にわたり、昼も夜も、礁原だけでなく礁外の海水にも及んだ。1980年には、サンゴ群体の40%が白化し、10%が死亡したが、白化した残りのサンゴは、1981年1月までには回復した。1998年には、同じ場所で、黙視観察によって約90%のサンゴが白化し、死亡したと推定された。これらにほかの観察結果も加えて、二つの白化現象を比較検討した。
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