抄録
桜島大正溶岩潮下帯に生息しているマメスナギンチャク群体の長期的な変化を調べる目的で、1982年に1×50mの調査区を設置し、1982年及び1995年~2002年までの間、毎年8月に1×1mのコドラートを用いて、調査区内に出現する全てのマメスナギンチャク群体の被度面積、群体サイズ、分布状況について潜水調査を実施した。マメスナギンチャク群体は固着性種で環境条件の大きな変化を受け易い。調査結果を分析したところ、桜島の火山活動に伴う長期間の火山灰の堆積が生息基質の砂泥化をもたらし、コロニーの被度面積は減少することが明らかになった。一方、急激かつ多量の火山灰の堆積は、直接的に群体の減少を引き起こすことが示された。
水温変化もマメスナギンチャク群体の成長に影響を及ぼす。1998年8月の高海水温度 (およそ平年値より2℃高い) によってマメスナギンチャク群体の被度面積が減少することが示された。