沖縄本島中部の真栄田岬一帯に分布する第四系は、更新統のサンゴ礁複合体堆積物である琉球層群と完新統の海岸および低地堆積物よりなり、これらは先第三系の名護層を不整合に覆う。調査地域の琉球層群はその主体を占める楚辺層と新期石灰岩に区分される。調査地域の楚辺層は4つのユニットの累重体である。最下位のユニットは主に礫岩および砂質~礫質石灰岩よりなり、その上位の2つのユニットは低海水準期の浅海相であるサンゴ石灰岩から高海水準期の沖合相である石灰藻球・Cycloclypeus-Operculina・砕屑性石灰岩へと上方深海化する整合一連のシーケンスから構成される。最上位のユニットはサンゴ石灰岩のみからなる。本層の分布高度は90mに及び、層厚は35mに達する。新期石灰岩は、調査地域の海岸部の3地点で認められ、楚辺層を不整合で覆うサンゴ石灰岩および楚辺層に由来する石灰岩の礫を含有する砕屑性石灰岩よりなる。これらの石灰岩は、いずれも層厚4m以下の小規模な岩体である。それぞれの岩体は孤立して分布しており、相互の関係は不明である。なお、ユニット2の砂質石灰岩より石灰質ナンノ化石が産出し、その年代は0.41~1.65Maである。