2005 年 2005 巻 7 号 p. 11-22
パリカメノコキクメイシ、フカアナハマサンゴ、トゲシコロサンゴについて赤土の懸濁条件下での酸素消費量を室内実験によって測定した。単位表面積あたりの酸素消費量は種毎に異なり、また赤土の懸濁量によっても影響を受ける。明暗いずれの条件下でもパリカメノコキクメイシの酸素消費量が他の2種よりも多く、褐虫藻の密度が他の2種よりも高いことと何らかの関係があることが示唆された。特に暗条件下では褐虫藻の密度が高い種ほど酸素消費量が多かった。赤土の懸濁量とサンゴ類の酸素消費量の関係から考えると, 塊状のサンゴ (パリカメノコキクメイシとフカアナハマサンゴ) がコノハシコロサンゴよりも赤土の懸濁に対しては抵抗力があり、実験開始後、酸素消費量に影響が出るのが遅かった。これらの種はそのような条件に適応しやすいのではないかとも推測される。これらの結果は、今後赤土が流入し続けるような状況において、サンゴ群集が受ける攪乱やその後の変化が予測しうるものであることを示唆する。