抄録
水稲の湛水直播栽培における耐ころび型倒伏性を改善し, 生産性の安定化に役立つ水管理法を明らかにする目的で, 落水管理の処理回数, 期間等の異なる水管理条件で栽培した直播水稲を対象に, 押し倒し抵抗, 倒伏程度, 収量および品質を比較調査した. 押し倒し抵抗は, 落水管理の処理回数が多く, 処理期間の長い区でより高い値を示した. こうした落水管理の押し倒し抵抗に対する向上効果は, 播種深度が異なってもほぼ同様で, 播種深度が1mm以下の表面播種区においても落水管理を行うことによって押し倒し抵抗が高まる傾向が認められた. 地表面に播種された散播栽培における倒伏は常時湛水区でもっとも顕著に発生し, 以下, 落水1回区, 2回区と落水管理の処理回数が多く, 処理期間のより長い区で倒伏程度が軽減される傾向がみられた. 収量については, 倒伏の発生程度の著しかった常時湛水区では収量の低下がみられたが, 7日程度の落水管理を3回まで実施しても収量や品質に悪影響は認められなかった.