抄録
トウモロコシ-イタリアンライグラス体系を長期継続した圃場へのダイズ, ダイコンおよび休閑の1, 2年間の導入が, その後のトウモロコシとイタリアンライグラスの収量に及ぼす影響について検討した. その結果, ダイズ, ダイコンおよび休閑の1年間導入と2年間導入との間には差異が認められず, 後作1作目トウモロコシの生育と収量はダイズ導入跡ではトウモロコシ-イタリアンライグラス体系を継続したイネ科連作跡よりも優り, ダイコン導入跡および休閑跡ではイネ科連作跡に比べ初期生育がやや劣る傾向を示したものの収量はほぼ同等となった. このイネ科作物の連作中断の影響に関わる要因には無機態窒素などの残存する土壌養分のみならずアーバスキュラー菌根菌が関与することが推察された. しかし, 後作2作目イタリアンライグラスや後作3作目トウモロコシの収量にはイネ科作物連作の中断による影響は認められなかった. 今後, ダイズ, ダイコン以外の作物の導入についても検討を要するが, 長期にわたるトウモロコシ-イタリアンライグラス体系の1, 2年間の中断がその後のトウモロコシとイタリアンライグラスの収量性に及ぼす影響は中断後の1作目にほとんど限られると考えられた.