日本作物学会紀事
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栽培
水田転換畑作ダイズの主茎と分枝に着莢した子実タンパク質含有率と播種時期,栽植密度との関係
内川 修福島 裕助松江 勇次
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2004 年 73 巻 3 号 p. 287-292

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抄録

水田転換畑におけるダイズ高タンパク質安定生産技術を確立するために, 播種時期と栽植密度が個体内における主茎と分枝着莢の子実タンパク質含有率に及ぼす影響について検討した. 主茎および分枝着莢の子実タンパク質含有率は播種時期が遅くなるにしたがい, また栽植密度が高まるほど高くなる傾向が認められた. 主茎着莢子実のタンパク質含有率はいずれの播種時期, 栽植密度においても分枝着莢子実に比べ高かった. 子実タンパク質含有率と個体当たり分枝数(以下, 分枝数と記載)および登熟期間の積算温度との間にはそれぞれ負の相関関係が認められ, 分枝数が少ないほど, 積算温度が低いほど子実タンパク質含有率が高くなることを示した. 子実タンパク質含有率の積算温度間と分枝数間の分散成分の値を比較すると, 分枝数間の分散成分の方が積算温度間の分散成分より大きかったことから, 子実タンパク質含有率は分枝数の影響が大きいことが示唆された. また, 子実タンパク質含有率の向上効果は播種時期の方が栽植密度より大きかった. このことは栽植密度より登熟期間の積算温度の影響や, 分枝数の影響の方がより大きいことによるものと考えられた.

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© 2004 日本作物学会
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