日本作物学会紀事
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収量予測・情報処理・環境
極早生水稲品種「とさぴか」の異常(不時)出穂の発生とその後の生育,収量および玄米品質
坂田 雅正鈴木 かおり山本 由徳宮崎 彰
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2004 年 73 巻 4 号 p. 443-449

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抄録

極早生水稲品種とさぴかの異常(不時)出穂の発生に伴う収量,玄米品質の変動要因を明らかにするため,播種からの有効積算温度(基準温度10℃)を基に養成したとさぴか,キタアケの幼穂分化苗と幼穂未分化苗を圃場に移植し,両苗区間で生育,収量および玄米品質を比較した.その結果,両品種でほぼ同様の結果が得られ,幼穂分化苗区では,移植から30~32日目に主稈出穂が確認され,その19~20日後に分げつの出穂が開始した.これに対し,幼穂未分化苗区では,移植から57~58日目に主稈が出穂し,分げつ出穂開始は,その2日後であった.分げつの出穂期間は,幼穂未分化苗区が13日であったのに対し,幼穂分化苗区は30~32日と長かった.幼穂分化苗区の最終主稈葉数は7 . 6~8 . 0で,幼穂未分化苗区に比べ4葉程度少ないが,分げつ発生数および穂数は幼穂分化苗区の方が多かった.幼穂分化苗区の収量は,幼穂未分化苗区に比べ9~15%少なかった.これはm2当たり穂数は多いが,分げつ穂の発育が劣り,1穂籾数が少なく,m2当たり籾数が減少したことと,発育停止籾割合が高く,登熟歩合が低くなったためであった.さらに,幼穂分化苗区では青米が多いため,玄米の外観品質評価も低くなることが判明した.

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© 2004 日本作物学会
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