日本作物学会紀事
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栽培
落水処理による土壌三相構造の変化が湛水直播水稲の出芽と苗立ちに及ぼす影響
古畑 昌巳楠田 宰福嶌 陽
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2005 年 74 巻 1 号 p. 1-8

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抄録
打込み点播機での播種を想定し, 湛水土中直播した水稲の出芽・苗立ちに及ぼす播種後の落水の影響を調査した. 過酸化カルシウム剤被覆種子を代かき土壌中に播種した後に落水を行うと (落水区), 表層土壌では, 土壌水分 (液相) が低下すると同時に土壌収縮によって固相が増加し, 気相が生じて通気性は向上した. また, 落水区では, 湛水状態とした湛水区に比べて出芽後, 鞘葉, 第1葉 (不完全葉) は早く伸長を停止し, 同時に第2葉の抽出は早まり, 茎葉部と根の乾物重が高く推移した. 一方, 湛水区では, 表層土壌の構造, 通気性に変化はなく, 鞘葉, 第1葉ともに出芽以後も伸長を続ける一方で, 第2葉の抽出は遅れた. 以上の結果, 過酸化カルシウム剤被覆種子を代かき土壌中に播種した後に落水を行うと, 土壌通気性の向上により, 出芽後の初期成長が促進され, 安定した出芽・苗立ちが可能になると推察された.
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© 2005 日本作物学会
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