抄録
打込み点播機での水稲湛水土中直播を想定し, ポットに湛水土中直播した水稲を用いて代かき程度が播種後の落水条件下における出芽, 苗立ちに及ぼす影響を検討した. 過酸化カルシウム剤を被覆した水稲種子を湛水土壌中に播種した後に落水すると, 落水後の表層土壌における三相分布と土壌構造は播種前の代かき程度によって大きく変化した. また, 標準代区の3倍の時間をかけて代かきを行った3倍代区では標準代区に比べて落水後の土壌の保水性は高く, 通気性は低かった. 3倍代区は標準代区に比べて落水2週間後の苗立ち率が低く, 茎葉部および根部の乾物重も小さかった. そして苗立ち率の低下, 乾物重増加の抑制は播種深が深い場合および麦稈施用した場合に顕著であった. 以上の結果, 実際の圃場において湛水土中播種後の落水によって安定した出芽・苗立ちを図るためには, 特に播種深が深い場合や圃場で麦稈が施用された場合には, 過度の代かきを避ける必要のあることが示唆された.