日本作物学会紀事
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栽培
ナイルデルタにおける窒素分施法および施与量がイネの収量・収量構成要素・乾物生産におよぼす影響
難波 輝久
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2005 年 74 巻 3 号 p. 253-259

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抄録
エジプト・ナイルデルタの1980年代の水稲(Oryza sativa)栽培では, 窒素施与量10 g m-2を約半数の農家が全量基肥, 他の半数は2回分施(基肥と幼穂形成期にそれぞれ50%)しており, 平均日射量が26 MJ m-2 d-1と極めて高いにもかかわらず精籾収量は650 g m-2であった. そこで品種Giza 172を供試し, 窒素について分施法と施与量を組み合わせた圃場試験を実施し, 多収のための最適施与法を検討した. 窒素分施法として, 移植期, 活着期(移植7日後), 減数分裂始期, 穂揃期における分施割合(%)を100‐0‐0‐0(全量基肥区), 50‐20‐20‐10(前期重点分施区), 25‐25‐25‐25(均等分施区), 0‐40‐40‐20(後期重点分施区)の4処理を, また, 窒素施与量として6, 12, 18 g m-2の3処理を設定した. 窒素施与量18 g m-2, 前期重点分施区で穂数は460本m-2, 籾数は47000粒m-2, 登熟歩合は93%であり, 精籾収量は1120 g m-2と高収であった. 前期重点分施区では個体群生長速度(CGR), 葉面積指数(LAI)および純同化率(NAR)は, 全期間を通じて高く推移し, とくにCGRはLAIに強く影響を受けるので, 大きなLAIを確保したことで高収を実現できたと考えられた. 全量基肥区では, 生育後期の窒素不足により単位面積あたり籾数は不足し, CGRも小さく, 登熟期のLAIは急速に低下した. また, 均等分施区や後期重点分施区では, 単位面積あたり穂数不足により単位面積あたり籾数は少なく, CGR, NARも小さく登熟歩合も低く, 収量は低かった. 以上の実験結果から, 本地域では窒素多施与(18 g m-2)の前期重点分施, すなわち基肥50%, 移植7日後20%, 減数分裂始期20%および穂揃期10%の施与により高収が可能であると結論した.
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© 2005 日本作物学会
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