日本作物学会紀事
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栽培
耕起法の違いがアーバスキュラー菌根菌の感染およびトウモロコシとエンバクの生育・収量に及ぼす影響
臼木 一英山本 泰由田澤 純子松尾 和之辻 博之
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2005 年 74 巻 4 号 p. 417-421

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抄録
温暖地の黒ボク土圃場において不耕起とロータリ耕およびそれらを交互に組み合わせた4通りの耕起法が夏作トウモロコシと冬作エンバクの生育・収量に及ぼす影響についてアーバスキュラー菌根菌の感染と関連させて検討した. トウモロコシの生育初期における乾物重とリン吸収はロータリ耕に比べて不耕起処理を前年から継続することで増加した. しかし, 出穂期以降は生育差が縮小して黄熟期の乾物収量には耕起法の違いは認められなかった. トウモロコシ播種前における土壌中のアーバスキュラー菌根菌の胞子密度には耕起法の違いによる影響は認められなかったが, トウモロコシの生育初期における同菌の感染率は不耕起処理によって高まった. これらのことから不耕起処理によってアーバスキュラー菌根菌の感染が高まり, 特に不耕起を継続することで養分吸収が促される可能性が示唆されたが, 収量に及ぼす影響は認められなかった. 一方, 冬作のエンバクでは, 耕起法の違いがアーバスキュラー菌根菌の感染に及ぼす影響は見られなかった. また, エンバクの生育はロータリ耕でやや向上する傾向にあったが収量に対しては耕起法の影響が見られなかった.
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© 2005 日本作物学会
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