抄録
ダイズからの一酸化窒素(NO)と亜酸化窒素(N2O)の発生に根粒が関与していることを明らかにするため, 根粒着生能力の異なるダイズ品種の3系統(普通品種 : エンレイ, 超着生品種 : 作系4号, 非着生系統 : En1282)を黒ボク土の普通畑圃場に栽培して, 圃場からの一酸化窒素と亜酸化窒素の発生を経時的に調査した. その結果, 特に開花期(R2)から着莢盛(R4)までに一酸化窒素と亜酸化窒素の発生量が高かった. 一酸化窒素と亜酸化窒素の発生量は作系4号>エンレイ> En1282の順であった.
作系4号とエンレイは, 開花期以降の生育進展に伴って一酸化窒素と亜酸化窒素の発生も高くなり, 子実肥大期の9月上旬にはほとんど発生しなくなるというパターンを示した. これらの結果から, 一酸化窒素や亜酸化窒素の発生程度とダイズ品種の根粒着生能力との間には脱窒の代謝系が密接に関与することが示唆された.