抄録
ラッカセイの莢実の莢が子実の脱湿と吸湿に及ぼす影響をみるために, 大粒・厚莢の品種ナカテユタカと極小粒・薄莢の品種Chicoを用いて次の4実験を行った. (1)新鮮な莢実と剥き実を9日間, 28°C通風乾燥;(2)乾燥貯蔵した莢実と剥き実を水で飽和したバーミキュライト培地に播種(28°C, 深さ3 cm, 6日および5日間);(3)同じ莢実と剥き実を室温(25~28°C)で約13週間, 高湿(相対湿度89~99%)の気中に置く;および, (4)同じく, 低湿(同26~28%)の気中に置く. これらの実験で, 莢による子実の脱湿や吸湿の阻害と, その時間的変化の品種間差異が見られたのは, 子葉組織または培地の液相の水分が気相に変化して移動する(1)と(2)の場合のみで, (3)と(4)の気相の水分の移動では莢の影響は全く見られなかった. また, (2)と(3)の両品種で約12時間の“imbibition”期が観察されたが, (2)では, 剥き実の子実の発芽(根)が莢実よりも早く, しかし, より高い含水率で始まった. (3)では, 吸湿がごく緩慢で, 両品種で発芽開始含水率に達せず, 発芽は起こらなかった. 以上の結果は, 莢が子実の保護だけでなく, 液相水分の移動において, 子実の水分の調整機能をもつことを示唆するものと考えられた.