抄録
播種後の降雨とその後の乾燥によって形成される土壌のクラスト(土膜)によるダイズの出芽・苗立ちの不安定化を解消するため, 土壌のクラストが形成された場合の1穴の播種粒数が出芽・苗立ちと芽ばえの抽出力に及ぼす影響について検討した. 1穴3粒以上の置床では, 1, 2粒播と比較して苗立株率(株当たり苗立率)が顕著に高まり, 最終的な苗立株率は96~100%となった. また, 非接触型ストレーン・ゲージ荷重変換器を用いた芽ばえの抽出力は, 3粒播で測定直後から1, 2粒播の2倍程度で増加し, 最大抽出力は378 gで1粒播の3.5倍, 2粒播の1.6倍と大きかった. 以上のことから, クラストが形成された条件下において, 直播の場合, 1穴3粒以上で播種を行うと芽ばえの株当り抽出力が大きくなるとともに速やかに増加するため, 苗立株率が向上した.