抄録
出芽期における耐冷性の強い品種アカネダイナゴンと耐冷性の弱い品種斑小粒系-1を用いて低温遮光処理後の緑化処理が過酸化水素含量と抗酸化酵素の活性に及ぼす影響を調べた. 28日間低温遮光処理(10°C~13°C, 72%遮光)したアカネダイナゴン初生葉は, 緑化処理(20°C~25°C, 自然光)により, クロロフィル合成速度が18日間低温遮光処理した時よりも遅延したが, 緑化は進行し, 枯死体は全くみられなかった. しかし, 28日間低温遮光処理した斑小粒系-1初生葉は, 緑化処理を行ってもクロロフィル合成が進行しなかった. さらに, 緑化処理する前の枯死率は約20%を示し, 緑化処理により枯死率はさらに増加した. 28日間低温遮光処理した斑小粒系-1初生葉に含まれるH2O2含量とSOD活性は, 18日間低温遮光処理した場合に比べて著しく増加した. また, 緑化処理によりSOD, APXおよびCAT活性は顕著に低下した. しかし, 同条件によるアカネダイナゴン初生葉のH2O2含量とSOD活性の増加はほとんどみられず, 抗酸化酵素活性にも顕著な影響は認められなかった. 以上のことから, 長期の低温遮光ストレスを受けることにより, 出芽期の耐冷性が低い品種である斑小粒系-1初生葉のH2O2含量が蓄積していることが明らかとなった. 出芽期のアズキ品種における耐冷性の違いは, 低温遮光処理により生じるO2-の生成量の差によるのかもしれない.