関東東山病害虫研究会報
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畑作物・野菜の虫害
シソサビダニの越冬生態と生殖休眠条件
鈴木 俊之上遠野 冨士夫鍵和田 聡多々良 明夫
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2018 年 2018 巻 65 号 p. 125-129

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抄録

シソサビダニ(Shevtchenkella sp.)はシソモザイクウイルスを媒介し,シソ生産現場で問題となっている。本種の越 冬生態は休眠態で越冬することが知られているが,越冬場所は不明である。そこで,越冬場所の探索と休眠誘起条件について調査した。2016年11月~2017年3月に採取したシソ株の内,地際部の幹が腐敗していた株には寄生が認められなかったが,腐敗していない株には11月中旬と2月上旬に採取したシソ株で地際部の幹に寄生が見られた。また,シソ株元の土壌や残渣では本種を確認できなかった。なお,地際部の幹に寄生していた個体は全てが生殖休眠状態だった。室内実験における臨界休眠条件は16°C,12L12Dとなり東京都の野外では10月中旬にあたるが,10月中旬から東京都小金井市の法政大学構内ほ場のシソに寄生する本種の休眠率が極めて高くなったことから,それ以前に休眠誘起されており,温度日長以外に寄生植物の状態や変温条件など別の条件も休眠に関与している可能性があると考えられた。

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