日本作物学会紀事
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品質・加工
北海道十勝地域におけるコムギ子実品質の実態
中津 智史松永 浩沢口 敦史
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2006 年 75 巻 4 号 p. 487-491

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抄録

2002~2004年, 十勝中央部における農家栽培の秋まきコムギ品種ホクシン試料128点について, 収量およびコムギ子実品質(容積重, α―アミラーゼ活性, タンパク含有率, 灰分含有率)の実態を調査するとともに, その変動要因について解析した. その結果, (1)コムギ収量と子実品質との間に明瞭な相関関係は認められず, 各子実品質項目間でも相関は判然としなかった. (2)容積重は各年次とも千粒重と正の相関(r=0.67**~0.91**)が認められ, 整粒率ともr=0.65**~0.90**の正の相関が認められた. 千粒重の平均値は2003年>2002年>2004年で, 登熟期の平均気温が低い方が高まる傾向を示した. (3)3箇年とも成熟期前後に雨が少なかったためα―アミラーゼ活性は全般に低かった. (4)タンパク含有率の平均値は2003年が9.4%と低かったが, 2002年は10.2%, 2004年は10.3%でほぼ適正範囲にあった. タンパク含有率は麦稈のN含有率と比較的高い正の相関(r=0.56**~0.80**)が認められ, 麦稈のK含有率とも同程度の相関が認められた. (5)灰分含有率の平均値は2003年が1.44%, 2004年は1.53%であった. 灰分の内訳としてはPおよびKでほぼ4割を占めており, 特にP含有率とはr=0.92**以上の高い正の相関が認められた.

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© 2006 日本作物学会
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