日本作物学会紀事
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栽培
ダイズの花房次位別着莢に及ぼす畦間と栽植密度の影響
―早生品種エンレイを用いた場合―
齊藤 邦行平田 和生柏木 揚子
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2007 年 76 巻 2 号 p. 204-211

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抄録

エンレイを供試し, 畦間80 cm(広畦区)・30 cm(狭畦区)の2水準, 栽植密度11.1本m-2(標準区)・22.2本m-2(密植区)の2水準で, 2001年と2002年に畑栽培を行い, 花房次位別に収量と収量構成要素を調査した. 両年ともに, 密植により主茎節数, 椏枝節数そして総節数が増加した. 狭畦(広株間)によりm2当たり分枝数, 分枝節数, 椏枝節数そして総節数が増加した. 主茎長は標準区に比べ密植区, 狭畦区に比べ広畦区で大きくなった. 茎重, 茎径, 茎断面積は密植区より標準区で, 広畦区より狭畦区で大きくなった. 子実収量は2002年に比べ2001年で著しく多く, 密植区>標準区, 狭畦区>広畦区となり, 特に2001年狭畦・密植区では668 g m-2と高かった. 子実収量の相違には2001年には莢数が, 2002年には莢数と百粒重の両者が関係していた. 密植区は主茎と椏枝, 狭畦区は分枝と椏枝の占める割合が高く, 日照の多かった2001年は特に椏枝の莢数の変動が収量と密接に関連した. 狭畦区では群落上層に葉面積が多く分布したにも拘わらず, 吸光係数が小さく, 良好な受光態勢を有していた. 広畦区では畦間と株元の日射量の違いが大きく, 狭畦区では群落内の日射量分布は均一であった. 狭畦栽培は広畦栽培に比べ密植したときの増収程度が大きく, これには狭畦区では株間が広く個体間競合が緩和され, 徒長抑制と分枝の発達が促進されたこと, また開花期以降群落上層の空間が有効利用され, 椏枝の発生と莢数の増加したことが関係すると推察された. 倒伏抵抗性の強化や初期の雑草防除が課題であると考えられた.

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© 2007 日本作物学会
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