2007 年 76 巻 4 号 p. 529-539
出穂後日数の経過が湛水直播水稲の耐倒伏性と稈基部の物理的性質に及ぼす影響を14品種・系統で検討した. 出穂後2週間目に比べて5週間目では, 大半の供試品種・系統で押し倒し抵抗値は小さく, 倒伏指数は大きくなり, 一部の品種・系統ではなびき型倒伏が生じた. この要因として, 穂重/地上部重比が増加したことおよび稈基部の生葉鞘数の減少にともなって断面係数および葉鞘付挫折時モーメントが低下したことが考えられた. 多収系統である西海203号は葉鞘の老化が遅く, 出穂後5週間目においても断面係数および葉鞘付挫折時モーメントが大きく維持されていたため, 押し倒し抵抗値が大きく, 倒伏指数が小さいことから耐倒伏性に優れていることが明らかとなった.