日本作物学会紀事
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栽培
塩土壌における幼穂形成期の水ストレスに対するイネの感受性の増加
王 俊剛津田 誠平井 儀彦
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2007 年 76 巻 4 号 p. 540-547

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抄録

中国北部では塩害地が広がりさらに水不足が起こるため, イネの収量は低い. このような地域の収量を改善するために, 塩土壌におけるイネの水ストレスに対する反応を解析した. 水稲品種アキヒカリを用い, NaCl(0, 5, 10, 15g/ポット)を混ぜた水田土壌を詰めた容量4リットルのポットで移植栽培した. 幼穂形成期に給水停止日数を変えることによって程度の異なる一時的な水ストレスを与える処理区と常時湛水する区を設け, 成熟期まで栽培した. 水ストレスの強さは, 水ストレスの期間と程度を考慮した指数である積算水ストレス(CWS)で示した. 出穂は塩によって遅延するとともに, 水ストレスによってさらに遅延した. 個体当り穂乾物重も塩土壌で低下するとともに, それぞれの土壌でCWSに比例して低下した. 水ストレス感受性(CWSの増加に対する穂乾物重の低下割合)は, 土壌の塩濃度が高いほど大となった. 植物体のNa含有率は塩土壌で増加したが, 水ストレスによる影響は小さかった. 水ストレス感受性は植物体のNa含有率に比例的に増加したことから, イネを塩土壌で栽培すると植物体のNa含有率が高まるとともに水ストレス感受性が大となることが分かった.

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© 2007 日本作物学会
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