日本作物学会紀事
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栽培
「きらら397」における登熟温度および枝梗着生位置がアミロース含有率に及ぼす影響
五十嵐 俊成古原 洋
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2008 年 77 巻 2 号 p. 142-150

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抄録
寒冷地北海道の最近の品種「きらら397」におけるアミロース含有率の変動要因について, 登熟温度, 年次, 移植時期, 苗の種類, 出穂日および枝梗着生位置について検討した. アミロース含有率と登熟温度には有意な負の相関があり, 登熟温度(出穂後40日間の日平均気温積算値)が800℃以下の温度域ではアミロース含有率の温度反応性が大きいことが明らかとなった. また, アミロース含有率は移植時の苗の葉数と有意な負の相関が認められた. アミロース含有率は同一出穂日であっても標準偏差で0.38~1.34%の変動が認められた. 枝梗着生位置別のアミロース含有率は, 一次・二次枝梗粒とも上位で高く下位で低かった. 一次枝梗粒のアミロース含有率は二次枝梗粒より高かったが, これは二次枝梗粒の澱粉の充実度が一次枝梗より劣るためと考えられる. 一方, 乳白・腹白歩合は, 下位の枝梗粒や二次枝梗粒で高く, 乳白・腹白歩合とアミロース含有率には有意な負の相関が認められた. 以上のことから, 二次枝梗粒を少なくすることが品質向上のために重要であり, 品種育成においては, 一次枝梗比率の高い穂相を有する品種の開発が北海道米の食味向上および品質向上にとって必要であることが判明した.
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© 2008 日本作物学会
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