抄録
オオムギをダイズの前作として刈り敷くカバークロップ栽培は, ダイズの不耕起栽培で問題となる一年生夏雑草の抑制や省力化のために開発された. 一方で, カバークロップ栽培にはダイズに増収効果が認められるが, その機構は明らかではない. 要因の一つとしてオオムギ残渣からの窒素の供給が考えられているが, 本研究では, カバークロップ栽培法におけるオオムギとダイズのアーバスキュラー菌根(AM)の形成の関係を検討した. その結果, カバークロップ栽培ではダイズのAM形成率が大きいことが明らかになった. また, オオムギの根長密度とAM形成率はオオムギの播種期が早いほど大きくなった. さらに, オオムギのAM形成率は土壌深層部ほど大きかった. オオムギの根長密度とAM形成率を掛け合わせることで求めたAM形成根長密度は, オオムギの播種期が早いほど大きかった. ダイズのAM形成率とオオムギの深さ0~20 cmのAM形成根長密度は有意な相関関係があった. これらの結果はオオムギを用いたダイズのカバークロップ栽培では, 土壌の深さ0~20 cmのオオムギのAM菌がダイズに対する接種源として機能し, ダイズのAM形成に関与したことを示唆している.