抄録
北部九州におけるパン用コムギ品種「ミナミノカオリ」の早播が生地物性および製パン適性に及ぼす影響について検討した. 早播(11月上旬)は標準播(11月中旬~下旬)と比べて, タンパク質含量には差がみられなかったが, 沈降量およびグルテンインデックスが低かった. 生地物性については, ファリノグラムにおける生地の形成時間や安定度が短く, バロリメーターバリューが小さくなり, パン比容積が小さいため製パン適性は劣った. また, 早播では, タンパク質組成のグルテニン含量と酢酸不溶性グルテニン含量が低かった. 年次, 播種期の異なるサンプルにおいて, グルテニン含量は沈降量との間に, 酢酸不溶性グルテニン含量は沈降量およびグルテンインデックスとの間に有意な正の相関関係が認められた. したがって, 早播で生地物性が弱く, 製パン適性が劣った要因は, グルテニン含量および酢酸不溶性グルテニン含量が低く, グルテンの質が低かったためであると考えられた.