抄録
短根性が水稲の収量発現に及ぼす影響を検討するため, 水稲品種オオチカラとその短根性準同質遺伝子系統IL-srt1の収量および収量構成要素を比較した. IL-srt1の収量は507g/m2, オオチカラの収量は745g/m2で, IL-srt1/オオチカラ比は68%であった. 収量構成要素のIL-srt1/オオチカラ比は, 穂数では91%, 1穂籾数では100%, 登熟歩合では80%, 1000籾重では95%であり, IL-srt1の低収性には登熟歩合が最も強く影響していた. 登熟歩合は稔実歩合と稔実籾登熟歩合に分けられる. 稔実歩合のIL-srt1/オオチカラ比は74%, 稔実籾登熟歩合のそれは108%で, IL-srt1の稔実歩合はオオチカラより低かったが, 稔実籾登熟歩合はオオチカラより高かった. これらより, IL-srt1の短根性は稔実歩合を通じて登熟歩合の低下に影響し, このためオオチカラよりも低収になると考えられた.