抄録
1穂穎花数の順位が主茎>1次分げつ>2次分げつになるのは穂首分化期(PI)の茎頂分裂組織(AD)の基部直径に関係づけられるのかを明らかにするために,穂数型品種のIR72と穂重型品種のIR65564-44-2-2の2つの水稲品種をポット栽培し,分げつ次位別の穎花数および1次枝梗数(PB),2次枝梗数とADの基部直径の関係を相関分析した.各ポットには1個体を栽培し,すべての分げつについて分げつ次位と出現した節位を記録した.主茎,主茎の第4,5,6,10葉節位から出現した1次分げつおよび主茎の第4,5,6葉節位から出現した1次分げつの第3葉節位から出現した2次分げつについて,PIにおけるADの基部直径,分化PB,分化穎花数などを調査した.PIにおけるADの基部直径はIR72では主茎が最も大きく,IR65564-44-2-2では主茎と主茎第5葉節位から出現した1次分げつが大きくなった.IR65564-44-2-2,IR72ともに分化PBの順位は主茎>1次分げつ >2次分げつとなった.その結果,両品種においてそれぞれPIにおけるADの基部直径と1穂PBの間に正の相関関係が認められた.このことから1穂穎花数の順位が主茎>1次分げつ>2次分げつになるのはPIにおけるADの基部直径が分化PBと関係づけられる可能性があると結論した.