北海道で生産される主要な豆腐用ダイズ品種の品質特性の差異を,品種,栽培地,年次の3因子による分散分析にて解析した.主要成分含量,百粒重には全因子において有意差が認められたが,品種の違いによる影響は小さく,栽培地または年次の影響が大きかった.一方,豆腐破断応力(硬さ)には品種が最も大きく影響し,年次の影響は小さかった.破断応力と最も相関が高い形質は百粒重と浸漬増加率であった.また,破断応力を除いた各形質による主成分分析を行ったところ,第1主成分は登熟中期~後期の気温,第2主成分は登熟日数と有意な正の相関を示した.特に,低温年において栽培地間の気温の差が第1主成分スコアに及ぼした影響は顕著であり,登熟日数が短くタンパク質含有率が抑制された高温年は第2主成分スコアが低下した.さらに,破断応力を目的変数とする主成分回帰分析を行った結果,有意な回帰式が得られ,これら主成分による説明が可能であった.以上より,豆腐用ダイズの加工品質に対しては,品種の選択に加え,適度な登熟気温および登熟日数を確保できる気象条件の重要性が示唆された.