代表的なサツマイモ蒸切干加工用品種「タマユタカ」と「泉13号」について,塊根収量やシロタ障害等蒸切干品質関連形質と,マルチ被覆および気象条件との関連性について2000年から2008年を通じて調査した.マルチ被覆による地温上昇効果は認められたが,シロタ障害発生に及ぼすマルチ被覆の影響には有意性が見られなかった.両品種とも,マルチ被覆栽培により塊根は多収となり,デンプン含有率は高まった.マルチ被覆栽培でシロタが増加せず,収量が増加したことは蒸切干加工用原料生産上で有利な点と考えられる.生育後期の降水量とシロタ障害発生程度との間に一部ではあるが有意な負の相関が見られたことから,収穫期直前の土壌水分の推移が本障害発生に関わっている可能性は高いと考えられる.