抄録
永年性木本植物である茶樹が生育期間中に固定する二酸化炭素量を,実測値および文献値から推定した.その結果,2年生幼木の二酸化炭素固定量は一株あたり28.8 gで,10 aあたり53.3 kgとなった.成木では更新の有無により固定量が異なり,更新直後では一株あたり3.9 kgで,10 aあたり7.3 tとなった.通常の摘採年では6.3 kg/株で,10 aあたり11.6 tとなった.モモ,ナシ等の果樹及び森林樹木と比較すると,チャは単位面積あたりの植栽密度が果樹より高いことから,樹体への二酸化炭素固定量は果樹より茶樹で多いと推定されるが,森林に比べ低かった.