日本作物学会紀事
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栽培
鳥害回避に関連する鉄コーティング種子の硬さ,種子表面の色差および発芽特性
-異なる種子予措程度,コーティング資材およびコーティング量での比較-
古畑 昌巳大角 壮弘帖佐 直松村 修
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2011 年 80 巻 3 号 p. 302-311

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抄録

鉄コーティング種子の鳥害回避効果の要因を明らかにするため,異なる種子予措程度,コーティング資材,コーティング量としたコーティング種子の硬度,発芽特性および種子表面の色差を評価した.その結果,鉄コーティング種子は,過酸化カルシウムコーティング種子に比べてコーティング資材と種子が固着しているため,コーティング種子外部から力を加えた場合にコーティング資材の剥離が生じにくく,種子硬度も大きいことが観察された.また,鉄コーティング種子の硬度は,鉄皮膜の厚さに起因せずにコーティング種子の水分に起因するため,活性化種子を利用した鉄コーティング種子では播種前は硬いが,播種後,発芽前の吸水に伴って硬さが急速に失われることが示唆された.さらに,鉄コーティング種子で鉄資材のコーティング比率を下げた場合,種子表面の色差と種子の硬度は変わらない一方で発芽が早まることから,表面播種後に落水条件とした圃場において早く出芽した芽生えが鳥の食害を受けてしまう可能性が示唆された.

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