市販の携帯型GPSをベースに農業機械の運転に合わせて長期にわたって軌跡収集ができるようGPS電源部の改造を行った.この携帯型GPSを用いて筑西市田谷川地区の大規模農家4戸の播種および収穫を中心とする作業の軌跡ログを収集するとともに,軌跡ログから農作業が実施された圃場と時刻を特定するための手法を検討した.すなわち,田谷川地区で収集した4年間の軌跡ログのうち,判別関数算出用のデータ群を用いて作業実施の有無を目的変数にした判別分析を行い,D/A (D:移動距離;A:圃場面積),log
10 (A/T) (A:圃場面積;T:滞在時間) を説明変数とする判別関数式を得た.この関数式を検証用とした第2のデータ群に適用すると,2%前後の誤判定発生割合で作業実施の有無を判定することができた.これらの手順に従って,軌跡ログから農作業が実施された圃場のリストを作成し,さらに農作業に関する詳細な情報 (作物,作業種,オペレータ,パワーソース,作業機等) を付加することで作業履歴が効率良く作成できるようプログラム化した.このプログラムを用いて田谷川地区の3農家のコムギ栽培における軌跡ログから播種と収穫履歴を算出し,両者の関係を例示した.
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