日本作物学会紀事
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栽培
パン用コムギ品種「ミナミノカオリ」の子実タンパク質含有率の変動要因
岩渕 哲也松江 勇次松中 仁
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2011 年 80 巻 4 号 p. 403-407

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抄録

本研究では,北部九州におけるパン用コムギ品種「ミナミノカオリ」において,子実タンパク質含有率の変動要因を明らかにするために,子実タンパク質含有率と気象および収量,収量構成要素との関係について検討した.子実タンパク質含有率は収量,千粒重および登熟期間の日照時間との間にそれぞれ負の相関関係が認められ,千粒重,収量と登熟期間の日照時間との間には正の相関関係が認められた.子実タンパク質含有率と千粒重,収量および日照時間との間で偏相関をみると,千粒重のみ有意な相関関係が認められた.以上のことから,子実タンパク質含有率は千粒重の影響を強く受けるものの,子実タンパク質含有率の主たる変動要因は日照時間の多少による千粒重の変化に支配されていることが明らかとなった.また,子実タンパク質含有率と有意な相関関係が認められた登熟期間の日照時間と開花期の窒素追肥量を説明変数とし,子実タンパク質含有率を目的変数とした重回帰分析を行った結果,子実タンパク質含有率(y)は,x1を開花期の窒素追肥量,x2を登熟期間の日照時間とすると,y=12.40+0.433x1—0.00726x2 (n=18,R2=0.563,p\<0.01)の重回帰式で示された.

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© 2011 日本作物学会
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