新潟県では近年,ダイズ収量の変動が大きく,従来よりも収量や品質が低下しているという指摘がある.そこで,本研究は新潟県におけるダイズ収量の変動要因,特に収量と作付履歴との関係,地力窒素の変化や気象要因が収量に与える影響について検討を行った.現地調査では,4年以上の連作圃場の比率が高まると収量低下が顕著となった.また,作況試験においては,有効莢数を主要因とした粒数の低下が収量低下の原因であった.長期田畑輪換圃場では水田圃場に比べてダイズ生育期間の可給態窒素量が少なく,特に開花期以降に少ないことから,着莢数や子実の肥大に影響しているものと考えられた.さらに,近年の気象傾向として,開花始~着莢始(R1~3) にあたる8月上旬の高い日射量は,莢数の増加に作用しているものの,着莢盛~粒肥大始(R4~5) にあたる8月中旬の多雨が一時的に湿害を招き,窒素固定の低下や落莢を引き起こしている可能性が示唆された.