2010年は夏季を中心とした高温により東北地域における大豆の作柄は91%となり,1等比率も過去10年間で最も低い9.9%となった.2010年の気象の特徴として,6月中旬から9月中旬にかけて,気温は平年よりも2℃から3℃高く経過し,特に,7月下旬から9月上旬までは記録的な高温に見舞われた.このため,東北地域では開花が早まり,播種から開花迄日数は平年より短くなった.開花期と同様に成熟期も早まる傾向がみられたが,結実期間は,一部の品種を除いて,平年よりも長くなった.青森,岩手県北では,平年よりも増収し,品質も平年並となった.これに対して,秋田,岩手県南,宮城,山形,福島では平年よりも減収し,裂皮,紫斑,虫害,未熟,しわ粒等の障害粒の発生が多く,品質も劣る傾向がみられた.そこで,異常高温による減収要因を解析した結果,夏季の真夏日日数が多かった地域では,平年に比べ百粒重が減少する傾向がみられ,特に,少雨,高温,多照を伴う条件下で百粒重は平年よりも著しく減少した.そして,このような高温乾燥条件に遭遇した期間が長かった地域では,結実期間は平年よりも短縮され,莢数も平年より減少する傾向がみられた.