日本作物学会紀事
Online ISSN : 1349-0990
Print ISSN : 0011-1848
ISSN-L : 0011-1848
研究・技術ノート
水稲種子の水分含量を低下させることによる温湯消毒時の高温耐性の向上
金勝 一樹三田村 芳樹岡崎 直人佐野 直人山田 哲也村田 和優
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 82 巻 4 号 p. 397-401

詳細
抄録

水稲種子の温湯消毒法は,化学農薬を使用しないクリーンな農業技術である.この消毒法の防除効果を向上させるためには,できるだけ高温で処理することが重要である.そのためには多くの品種において種子の高温耐性を強化する必要がある.本研究では,種子の水分含量を低下させることによる高温ストレス耐性の変化を調査した.それぞれ乾もみの水分含量が14.7%および15.0%の「日本晴」と「こがねもち」の種子を66℃で10分間処理すると発芽率は90%を大きく下回った.これに対して種子の水分含量を9~10%程度まで低下させておくと,どちらの品種の種子も同じ温湯処理条件で90%以上の発芽率を示した.さらに,種子の水分含量低下によるこのような発芽率の向上効果は,「ひとめぼれ」や酒米品種である「富の香」の種子でも認められた.以上のことから,温湯消毒を行う前に種子を乾燥させることは,高温耐性の改善に効果的であることが示唆された.

著者関連情報
© 2013 日本作物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top