日本作物学会紀事
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栽培
成熟期レンゲの窒素無機化特性およびその鋤きこみが湿田での 水稲の窒素吸収と収量に及ぼす影響
南雲 俊之金澤 裕美大井 友紀子久保 田恭子
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2014 年 83 巻 1 号 p. 15-24

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抄録
レンゲ (Astragalus sinicus L.) は水田稲作で伝統的に使われてきた緑肥作物である.我われは成熟期レンゲの水稲への窒素供給能を評価し,開花期レンゲとの違いを考察した.湿田に成熟期レンゲを鋤き込み,栽培試験を実施するとともに,インキュベート実験を行った.その結果は,開花期レンゲと比べて,成熟期レンゲは水稲生育初期に窒素供給が少なく,基肥代替効果は小さいことを示した.これは穂数の減少をもたらし,総籾数の減少を招いた.一方,成熟期レンゲの窒素無機化が継続するという特徴は追肥の省略を期待させたが,その窒素供給能は十分でなかった.それでもなお,成熟期レンゲを使った水稲は,化学肥料なしに450 g m-2以上の収量を与えた.湿田で多量施用する条件で,成熟期レンゲは潜在的に利用価値があると推察される.
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© 2014 日本作物学会
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