日本作物学会紀事
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収量予測・情報処理・環境
水稲の収量・品質決定要因解析手法としての回帰木の適用
田中 恒大平井 康丸猿田 恵輔井上 英二岡安 崇史光岡 宗司
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2014 年 83 巻 2 号 p. 143-154

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抄録
近年,気象変動の増大や担い手の高齢化と減少により,水稲生産に関する種々のデータを収集し,収量・品質の高位安定化と次世代への技術継承に利用する取り組みが重要になってきている.そこで本研究では,水稲生産に関する多種類のデータに基づいて収量・品質の決定要因を解析する手法として,回帰木の有効性を明らかにすることを目的とした.出穂期以降の気象環境と稲の生育・栄養状態を説明変数とし,精玄米収量(収量),千粒重および玄米タンパク質含有率(タンパク)の決定要因を解析した.また,一般的に多変量の要因解析に用いられる重回帰分析との比較を行った.収量の解析においては,いずれの手法を用いた場合も籾数が決定要因として特定された.しかし,収量と籾数の線形関係が強かったため,予測精度は重回帰分析の方が優れた.データ構造が非線形であった千粒重の解析においては,重回帰分析では妥当な決定要因は特定されなかった.一方,回帰木は,出穂後約20日のSPAD値(SPAD20)との関係の解明を通して,決定要因の特定に寄与する示唆を与えた.また,タンパクの解析においてはSPAD20が決定要因として特定されるとともに,SPAD20が高い条件において,出穂後5~30日間の平均気温が高い場合にタンパクが低下することが示唆された.回帰木は階層的なデータの分割により,一部のデータを対象にして変数間の関係を明らかにすることが可能であり,これは重回帰分析に見られない有利な特長と考えられた.
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© 2014 日本作物学会
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